日本版「社会的処方」のあり方検討事業(仮題)
2017年度は、海外事例や国内事例を取り上げつつ、有識者による意見交換を通じて、今後の日本における「住民本位の地域包括ケアのマネジメントのあり方」について勉強会を開催し検討を深めてきました。2018年度からは、これらの議論も踏まえ「社会的処方」を手がかりに、「住民本位の地域包括ケア、地域共生社会の実現」に向けて検討・検証する新プロジェクトを開始しました。
世話人は、堀田聰子 慶應義塾大学大学院教授、長嶺由衣子 東京医科歯科大学非常勤講師 厚生労働省老人保健課課長補佐(研究開始時 東京医科歯科大学助教)にお願いしています。
2022年度
2018年度より5年の期間で始めました日本版「社会的処方」のあり方検討事業は2022年度に最終年度を迎えました。予定しておりました事例検討会を軸とした以下3点の活動は、未着手に終わりました。
- 事例検討会の継続開催
- 事例検討会の雛形の検討および地域を超えた実践者のネットワークづくり
- 日本における社会的処方の中長期的なあり方を議論する有識者懇談会の開催
一方で、2022年度は、過去 4 年間の議論・実践を踏まえ、以下の事業を行いました。
- (ア)(公財)在宅医療助成 勇美記念財団:2020 年度「課題解決型実証研究」<地域包括ケア・地域共生社会に対応したリンクワーカー養成の試行と評価(リンクワーカーのコンピテンシー整理・ 研修)>
本研究は、コロナの影響から、研究期間が1年延長されたため、2022年度に本格的に着手し、2023年8月に終了予定です。また、研究結果を受け、論文も執筆中です。
- (イ)「令和4年度名張市地域資源コーディネート機能強化事業」の一部事務局機能の受託
社会的処方の実践を通じて三重県内への普及を図っている名張市の上記事業の中で、①事例検討会(「アボガドの会」と呼称)の運営、②年3回のリンクワーカー研修の運営を受託しました。
5年間の締め括りとしまして、委員会メンバー(オブザーバーを含め6人)各自による「5年間の振り返りと今後の展望」をまとめたうえで、委員会としての取りまとめを行い、財団ホームページに公開いたします。
2021年度
当初予想以上にコロナ感染拡大の影響を受け、年度計画で目指しました、事例検討会を軸とした以下3点の活動は、ほとんど未着手に終わりました。
- 事例検討会の継続開催
- 事例検討会の雛形の検討および地域を超えた実践者のネットワークづくり
- 日本における社会的処方の中長期的なあり方を議論する有識者懇談会の開催
その一方で、当初計画にはなかった、三重県「地域資源コーディネーター機能強化事業」(モデル地域:名張市)の行っているリンクワーカー研修・評価の最終年度(2年目)の事務局運営の委託を受け、4回の研修を取り進めました。これを受け、2022年度も、三重県「地域資源コーディネーター機能強化事業」(モデル地域:名張市)の後継事業を行うに際し、その事業運営の事務局を受託しています。
なお、財団が直接関与している(公財)在宅医療助成 勇美記念財団:2020年度「課題解決型実証研究」<地域包括ケア・地域共生社会に対応したリンクワーカー養成の施行と評価(リンクワーカーのコンピテンシー整理・研修)>もコロナの影響から、研究期間が1年延長されたため、2022年度に、本格的に着手いたします。
2020年度
2020年度は、2019年度の日本版「社会的処方」のあり方検討事業に関わった研究者が、それぞれの地域・母体(名張市・宇都宮医師会などなど)で、社会的処方に関する各種事業の検討に着手していたため、それら事業との重複を避けるため、弊財団が主体となっての社会的処方に関する実証開発プロジェクトには着手しませんでした。
なお、2020年度は、「社会的処方白書」を発刊しました。2018年度の研究成果(含む、英国出張)を踏まえ、特に医師など医療関係者向けに、社会的処方の概念整理、各種事例紹介など行いました。(本事業の代表世話人:堀田聰子 慶應義塾大学大学院教授、世話人:長嶺由衣子 東京医科歯科大学医学部附属病院総合診療科特任助教が編集を務め、執筆者メンバー及び事務局が企画・制作しました)。
2019年度
2018年度にスタートした日本版「社会的処方」のあり方検討委員会(代表世話人:堀田聰子 慶應義塾大学大学院教授、世話人:長嶺由衣子 東京医科歯科大学医学部付属病院 総合診療科 特任助教)の研究成果を基に、4月に、一般社団法人「人とまちづくり研究所」(理事長 堀田聰子氏)が平成31年度老人保健健康増進等事業、「高齢者の社会的リスクに関する基礎的調査研究事業」に応募し、採択されました。弊財団は、この事業の事務局支援を受託する形で、本研究を推進しました。本研究では、①社会的処方の概念整理、日本の現状に照らした検討、②医療機関におけるかかりつけ医等の先進事例の収集・類型化、③実践を可能にする構成要素についての予備的検討を行いました。
2019年度の報告書は一般社団法人「人とまちづくり研究所」https://hitomachi-lab.com/
の以下に掲載してあります。https://hitomachi-lab.com/pdf/pdf03.pdf
2018年度
今年度は、住民本位の地域包括ケアシステム構築に向けた日本版「社会的処方」の意義・方向性の探索を目的として、7回の委員会にて、日本版「社会的処方」のあり方を検討しました。この間、文献レビューを行うとともに、8月には、「社会的処方」発祥の地である英国に調査団を派遣し、現地調査を行いました。この結果、我が国においても、地域共生社会実現に向けた社会的処方の有用性を見出しつつあることが分かりました。特に、医療機関等においては、健康の社会的決定要因への対応に目を向け、患者の非医療的ニーズについては地域における多様な活動やボランティア・グループなどの地域資源に橋渡しし、より患者が主体的に自立して生きていけるよう支援する取組みも始まってきていることを確認しました。5月には、委員会資料を財団ホームページに公開しました。また、今年度の委員会の成果として、医療者向けに「社会的処方白書」(仮)を作成し、刊行する予定です。
2018年度 日本版「社会的処方」のあり方検討事業(仮題)委員会
1. 委員、アドバイザー、オブザーバー一覧
【委員・アドバイザー】
(敬称略・五十音順)
|
氏名 |
所属・肩書 |
委員 |
朝比奈 ミカ |
中核地域生活支援センターがじゅまる 所長 |
委員 |
後藤 励 |
慶應義塾大学大学院経営管理研究科 准教授 |
委員 |
近藤 尚己 |
東京大学大学院医学系研究科健康教育・社会学分野 准教授 |
アドバイザー |
迫井 正深 |
厚生労働省 審議官(医政、医薬品等産業振興、精神保健医療、 災害対策担当)(老健局、保険局併任) |
アドバイザー |
澤 憲明 |
リバーサイドメディカルセンター |
委員 |
柴垣 維乃 |
三重県名張市福祉子ども部地域包括支援センター地域包括・ 総合支援係長 |
アドバイザー |
武田 裕子 |
順天堂大学医学部医学教育研究室 教授 |
委員(世話人) |
長嶺 由衣子 |
東京医科歯科大学医学部付属病院 総合診療科 特任助教 |
アドバイザー |
新田 國夫 |
全国在宅療養支援診療所連絡会会長 全国在宅ケアアライアンス議長 |
委員 |
野﨑 伸一 |
厚生労働省社会 援護局 地域福祉課 生活困窮者自立支援室 室長 |
委員 |
馬袋 秀男 |
兵庫県立大学大学院経営研究科客員教授・民介協 特別理事 |
委員 |
藤沼 康樹 |
医療福祉生協連 家庭医療学開発センター長 |
委員(世話人) |
堀田 聰子 |
慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科 教授 一般社団法人人とまちづくり研究所 代表理事 |
委員 |
吉江 悟 |
東京大学高齢社会総合研究機構 特任研究員 一般社団法人Neighborhood Care 代表理事 |
【オブザーバー】
(敬称略)
氏名 |
所属・肩書 |
西岡 大輔 |
東京大学大学院医学系研究科 健康教育・社会学分野 博士課程 |
村越 英治郎 |
慶應義塾大学大学院経営管理研究科後藤研究室 研究生 |
【事務局】一般財団法人オレンジクロス
氏名 |
所属・肩書 |
村上 佑順 |
一般財団法人オレンジクロス 理事長 |
西山 千秋 |
一般財団法人オレンジクロス 事務局長 |
前田 実 |
一般財団法人オレンジクロス 事務局 |
吉江 悟 |
一般財団法人オレンジクロス 研究員 |
2. 議題、資料
以下を明記することで当委員会の資料の引用を認める。
- 資料作成者の所属
- 資料作成者名
- 「一般財団法人オレンジクロス 日本版『社会的処方』のあり方検討事業(仮題)委員会 第○回委員会資料」
第1回 2018年7月11日
- 議題等
-
- 社会的処方の事例と効果に関する系統的レビュー
- 英国における社会的処方
第2回 2018年8月2日
- 議題等
- 「社会的処方」の実践事例①
第3回 2018年10月3日
- 議題等
- 英国調査報告
資料名 |
提出者、資料作成者 |
|
堀田委員、後藤委員、 澤アドバイザー、 長嶺委員、西岡氏(オブザーバー) |
|
Dr Julian Abel Director, Compassionate Communities UK |
第4回 2018年11月8日
- 議題等
- 「社会的処方」の実践事例②
第5回 2018年12月3日
- 議題等
- 「社会的処方」の理論・実践
第6回 2019年1月29日
- 議題等
- 第1回~第5回委員会の討議の振り返り
第7回 2019年3月18日
- 議題等
-
- 「社会的処方」の定義
- わが国における社会的処方の有用性
日本版「社会的処方」のあり方検討事業(仮題)
2017年度は、海外事例や国内事例を取り上げつつ、有識者による意見交換を通じて、今後の日本における「住民本位の地域包括ケアのマネジメントのあり方」について勉強会を開催し検討を深めてきました。2018年度からは、これらの議論も踏まえ「社会的処方」を手がかりに、「住民本位の地域包括ケア、地域共生社会の実現」に向けて検討・検証する新プロジェクトを開始しました。
世話人は、堀田聰子 慶應義塾大学大学院教授、長嶺由衣子 東京医科歯科大学非常勤講師 厚生労働省老人保健課課長補佐(研究開始時 東京医科歯科大学助教)にお願いしています。
注目の資料
本白書は、2018年度 日本版「社会的処方」のあり方検討事業の成果を踏まえ、執筆者メンバー及び事務局が企画・制作したものであり、編集は同事業の世話人である堀田聰子 慶應義塾大学大学院教授、長嶺由衣子 東京医科歯科大学助教が務めた。
海外調査報告書
2022年度
2018年度より5年の期間で始めました日本版「社会的処方」のあり方検討事業は2022年度に最終年度を迎えました。予定しておりました事例検討会を軸とした以下3点の活動は、未着手に終わりました。
一方で、2022年度は、過去 4 年間の議論・実践を踏まえ、以下の事業を行いました。
本研究は、コロナの影響から、研究期間が1年延長されたため、2022年度に本格的に着手し、2023年8月に終了予定です。また、研究結果を受け、論文も執筆中です。
社会的処方の実践を通じて三重県内への普及を図っている名張市の上記事業の中で、①事例検討会(「アボガドの会」と呼称)の運営、②年3回のリンクワーカー研修の運営を受託しました。
5年間の締め括りとしまして、委員会メンバー(オブザーバーを含め6人)各自による「5年間の振り返りと今後の展望」をまとめたうえで、委員会としての取りまとめを行い、財団ホームページに公開いたします。
2021年度
当初予想以上にコロナ感染拡大の影響を受け、年度計画で目指しました、事例検討会を軸とした以下3点の活動は、ほとんど未着手に終わりました。
その一方で、当初計画にはなかった、三重県「地域資源コーディネーター機能強化事業」(モデル地域:名張市)の行っているリンクワーカー研修・評価の最終年度(2年目)の事務局運営の委託を受け、4回の研修を取り進めました。これを受け、2022年度も、三重県「地域資源コーディネーター機能強化事業」(モデル地域:名張市)の後継事業を行うに際し、その事業運営の事務局を受託しています。
なお、財団が直接関与している(公財)在宅医療助成 勇美記念財団:2020年度「課題解決型実証研究」<地域包括ケア・地域共生社会に対応したリンクワーカー養成の施行と評価(リンクワーカーのコンピテンシー整理・研修)>もコロナの影響から、研究期間が1年延長されたため、2022年度に、本格的に着手いたします。
2020年度
2020年度は、2019年度の日本版「社会的処方」のあり方検討事業に関わった研究者が、それぞれの地域・母体(名張市・宇都宮医師会などなど)で、社会的処方に関する各種事業の検討に着手していたため、それら事業との重複を避けるため、弊財団が主体となっての社会的処方に関する実証開発プロジェクトには着手しませんでした。
なお、2020年度は、「社会的処方白書」を発刊しました。2018年度の研究成果(含む、英国出張)を踏まえ、特に医師など医療関係者向けに、社会的処方の概念整理、各種事例紹介など行いました。(本事業の代表世話人:堀田聰子 慶應義塾大学大学院教授、世話人:長嶺由衣子 東京医科歯科大学医学部附属病院総合診療科特任助教が編集を務め、執筆者メンバー及び事務局が企画・制作しました)。
2019年度
2018年度にスタートした日本版「社会的処方」のあり方検討委員会(代表世話人:堀田聰子 慶應義塾大学大学院教授、世話人:長嶺由衣子 東京医科歯科大学医学部付属病院 総合診療科 特任助教)の研究成果を基に、4月に、一般社団法人「人とまちづくり研究所」(理事長 堀田聰子氏)が平成31年度老人保健健康増進等事業、「高齢者の社会的リスクに関する基礎的調査研究事業」に応募し、採択されました。弊財団は、この事業の事務局支援を受託する形で、本研究を推進しました。本研究では、①社会的処方の概念整理、日本の現状に照らした検討、②医療機関におけるかかりつけ医等の先進事例の収集・類型化、③実践を可能にする構成要素についての予備的検討を行いました。
2019年度の報告書は一般社団法人「人とまちづくり研究所」https://hitomachi-lab.com/
の以下に掲載してあります。https://hitomachi-lab.com/pdf/pdf03.pdf
2018年度
今年度は、住民本位の地域包括ケアシステム構築に向けた日本版「社会的処方」の意義・方向性の探索を目的として、7回の委員会にて、日本版「社会的処方」のあり方を検討しました。この間、文献レビューを行うとともに、8月には、「社会的処方」発祥の地である英国に調査団を派遣し、現地調査を行いました。この結果、我が国においても、地域共生社会実現に向けた社会的処方の有用性を見出しつつあることが分かりました。特に、医療機関等においては、健康の社会的決定要因への対応に目を向け、患者の非医療的ニーズについては地域における多様な活動やボランティア・グループなどの地域資源に橋渡しし、より患者が主体的に自立して生きていけるよう支援する取組みも始まってきていることを確認しました。5月には、委員会資料を財団ホームページに公開しました。また、今年度の委員会の成果として、医療者向けに「社会的処方白書」(仮)を作成し、刊行する予定です。
2018年度 日本版「社会的処方」のあり方検討事業(仮題)委員会
1. 委員、アドバイザー、オブザーバー一覧
災害対策担当)(老健局、保険局併任)
総合支援係長
全国在宅ケアアライアンス議長
一般社団法人人とまちづくり研究所 代表理事
一般社団法人Neighborhood Care 代表理事
2. 議題、資料
以下を明記することで当委員会の資料の引用を認める。
第1回 2018年7月11日
~普及に向けた課題整理~
「ジェネラリスト教育コンソーシアム」(consortium vol.10)の一部を出版社の
ご厚意により公表させていただいております。
Steps towards implementing self-care
– a focus on social prescribing
https://www.healthylondon.org/resource/steps-towards-implementing-self-care/
第2回 2018年8月2日
~三重県名張市の実践~
「だんだんひろば」
松井美春氏
~ビュートゾルフ柏の実践~
第3回 2018年10月3日
澤アドバイザー、
長嶺委員、西岡氏(オブザーバー)
Director, Compassionate Communities UK
第4回 2018年11月8日
社会医療法人仁医会から見た「地域ささえあいセンターの意義」
~まちづくりのために「病院」機能ができること~
根本真紀氏
第5回 2018年12月3日
教授 平野隆之氏
代表取締役 広石拓司氏
第6回 2019年1月29日
Social prescribing の動向を参考にした課題整理」
(「医療経済研究」(一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会医療経済研究機構)Vol.30 No.1 P5-19 特別寄稿)
第7回 2019年3月18日